3/15 リンパが腫れた


慢性の高熱に陥っている牛の後乳房基部に、両側性の腫脹が認められた。外見上は、それはあたかも懐かしい甘食のよう。。。

他の先生に聞くと、それはリンパ節だという。調べて見ると、確かに後乳房基部にリンパ節がある。その名は浅鼠径リンパ節superficial inguial lnn.という。雌では乳房リンパ節mammary lnn.ともいわれる。家畜比較解剖図説によると、「結核や乳房炎の診断に利用される。腫れると両側で皮下に盛り上がって認められる」とあり、臨床上重要だと書かれている。

慢性の乳房炎で腫れることもあるようだが、個人的にはあまり当てにならないように思う。それよりも、白血病の牛でこのリンパ節が異常に腫脹しているのをたまに見ることがあり、診断の参考になる。
このリンパ節は腸骨大腿リンパ節iliofemoral lnn.(深鼠径リンパ節deep inguial lnn)、内側腸骨リンパ節medial lnn.へとつながっている。さらに乳ビ槽Cisterna chyliから胸管Thoracic ductを通り、前大静脈に注ぐ。当たり前のことだが、リンパの道は血管に通ずるのだ。
よって、白血病の牛ではリンパ管を伝って全身性に腫脹が広がり、あっちゃこっちゃのリンパ節が腫れることになる。なお、よく直腸検査で触診しているリンパ節は腹壁リンパ節epigastric ln.で、同じく内側腸骨リンパ節に通じている。
久しぶりに勉強しました。Bovine Anatomyの英語版を購入したのですが、図が美しくなかなか良い本ですね!

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