第65回獣医師国家試験:学説B、産業動物編


最後は、第65回国家試験学説Bの試験問題から、「牛」、「馬」、「豚」の含まれる問題のみ抜粋して紹介します。


問 7 骨の疾患に関する記述として誤っているのはどれか。答え→2
1.骨粗鬆症では皮質骨および海綿骨で骨量が減少する。
2.くる病では関節軟骨に骨化異常が生じる。
3.線維性骨異栄養症では破骨細胞性骨吸収が亢進する。
4.牛のハイエナ病では成長板の早期閉鎖や断裂がみられる。
5.レッグ・ペルテス病では大腿骨頭の乏血性壊死がみられる。

問 9 アルテリウイルス属のウイルスによる疾患はどれか。 答え→3
a ラッサ熱
b 馬ウイルス性動脈炎
c 豚繁殖・呼吸障害症候群
d アカバネ病
e 豚水疱疹
1.a,b   2.a,e   3.b,c   4.c,d  5.d,e

問10 ヌカカにより媒介される感染症はどれか。答え→4
a 日本脳炎
b アナプラズマ病
c イバラキ病
d アカバネ病
e アフリカ豚コレラ
1.a,b  2.a,e  3.b,c   4.c,d  5.d,e

問12 偏性細胞内寄生性細菌による感染症はどれか。答え→5
a 牛肺疫
b ライム病
c 野兎病
d 日本紅斑熱
e ツツガムシ病
1.a,b   2.a,e   3.b,c  4.c,d  5.d,e

問14 牛海綿状脳症に関する記述として正しいのはどれか。 答え→5
a 脳幹部に炎症反応が認められる。
b 潜伏期は 4 ~ 5 週間である。
c 診断には in situ hybridization による核酸の検出が用いられる。
d 迷走神経背側核と孤束核は組織病変の好発部位である。
e 病原体の失活には 2 規定の NaOH が有効である。
1.a,b  2.a,e   3.b,c  4.c,d   5.d,e

問15 チュウザン病に関する記述として誤っているのはどれか。 答え→3
1.牛、山羊、めん羊で発生が認められる。
2.間欠性のてんかん様発作や旋回運動などの神経症状を示す。
3.妊娠牛が感染すると妊娠後期に流産がみられる。
4.胎子が感染すると水無脳症や小脳形成不全症候群となる。
5.先天異常子牛の治療法はない。

問16 豚パルボウイルス病の鑑別疾患はどれか。 答え→2
a オーエスキー病
b 豚インフルエンザ
c 豚流行性下痢
d 伝染性胃腸炎
e 日本脳炎
1.a,b  2.a,e 3.b,c  4.c,d  5.d,e

問18 条虫症に関する記述として最も適切なのはどれか。 答え→1
1.葉状条虫は馬の盲腸に寄生する。
2.マンソン裂頭条虫の第 2 中間宿主はマス類である。
3.日本海裂頭条虫の駆虫にはイベルメクチンが有効である。
4.有鉤条虫の幼虫による皮膚疾患を皮膚爬行症という。
5.多包条虫の成虫による主症状は潰瘍性大腸炎である。

問25 牛乳製造において加熱殺菌の下限条件の指標となる病原体はどれか。 答え→3
1.Bacillus anthracis
2.Staphylococcus aureus
3.Coxiella burnetii
4.Brucella abortus
5.Salmonella Typhi

問27 クリミア・コンゴ出血熱に関する記述として正しいのはどれか。 答え→2
a 一類感染症に分類されている。
b 病原体はアレナウイルス科に属する。
c 牛やめん羊では出血症状を示す。
d ワクチンが使用されている。
e 病原体はマダニ類によって媒介される。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問28 ウエストナイル熱に関する記述として正しいのはどれか。 答え→3
a 二類感染症に分類されている。
b 病原体はフラビウイルス科に属する。
c ヒトと馬では脳炎を発症する場合がある。
d 感染環において豚が増幅動物となる。
e 病原体は主としてシラミ類によって媒介される。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問34 乳牛の飼養衛生管理に関する記述として誤っているのはどれか。答え→1
1.初乳の給与は出生後 24 時間以降が望ましい。
2.初乳の比重はγ- グロブリン濃度と相関する。
3.泌乳期のボディコンディションスコアは 3 ~ 3.25 が望ましい。
4.乾乳後期には濃厚飼料の給与量を徐々に増加する。
5.乳房内感染により乳汁中の体細胞数は増加する。

問36 牛の乳汁中の細胞数を評価する検査はどれか。 答え→3
1.フォスファターゼテスト
2.セジメントテスト
3.CMT
4.DPD 法
5.TTC テスト

問37 移行抗体に関する記述として正しいのはどれか。答え→1
a 牛では出生後の乳汁移行だけが母親の抗体を得る機会である。
b 鶏の場合には卵黄を介して母親の抗体が雛に移行する。
c 犬では胎盤移行によってのみ母親の抗体が子に移行する。
d 初乳中には IgM が多量に含まれている。
e 母親からの移行抗体を得ることを獲得免疫という。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問38 我が国の養牛に関する記述として正しいのはどれか。答え→3
a カーフハッチは肉用牛の肥育段階で用いられる。
b 牛舎施設としてタイストールとフリーストールがある。
c 肉用牛は通常 18 ~ 35 ヵ月齢でと畜場へ出荷する。
d まき牛とは牧場に放たれる繁殖適期の雌牛のことを言う。
e 2010 年の乳用牛と肉用牛の総数はおよそ 1,000 万頭である。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問39 我が国の養豚に関する記述として正しいのはどれか。答え→5
a 多くの一貫経営農場で農場単位でのオールイン・オールアウトがおこなわれている。
b オーエスキー病のワクチン抗体と野外抗体で識別できるものは現在存在しない。
c 閉鎖型の無窓豚舎は用いられていない。
d 2009 年における飼養戸数は 1961 年に比べ減少した。
e SPF 豚はコマーシャル農場に導入されている。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問54 牛の多発性肝膿瘍発生と最も関連の深い疾患はどれか。答え→2
1.食道梗塞
2.第一胃炎
3.第四胃変位
4.第四胃食滞
5.第四胃捻転

問55 ビタミン D 欠乏により子牛に生じる疾患はどれか。 答え→5
1.夜盲症
2.眼球乾燥症
3.骨軟症
4.白筋症
5.くる病

問56 牛の尿細管形成不全症に関する記述として適切なのはどれか。答え→5
a 主としてホルスタイン種に発生する。
b 常染色体優性遺伝による遺伝病である。
c 出生直後から腎不全と診断されることが多い。
d 過長蹄がみられることが多い。
e キャリア牛同士の交配を避けることが予防法である。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問57 牛のケトーシス治療薬として用いられるのはどれか。 答え→1
a キシリトール
b プロピレングリコール
c フロセミド
d 高張食塩液
e ボロクルコン酸カルシウム
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問69 牛のアクチノバチルス症に関する記述として正しいのはどれか。 答え→3
a 経過は急性である。
b 病原体は口腔から上部消化管の正常細菌叢である。
c 軟部組織に肉芽腫が形成される。
d 病変部の病理組織検査で好酸性封入体がみられる。
e サルファ剤が有効である。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問70 牛の食道梗塞に関する記述として誤っているのはどれか。 答え→5
1.根菜類の摂食が原因になる。
2.食道上部の梗塞では用手摘除を試みる。
3.流涎は主症状の 1 つである。
4.急性鼓脹症を継発する。
5.食道切開術は禁忌である。

問71 牛の腟囊腫(腟囊胞)に関する記述として適切でないのはどれか。答え→5
1.中腎管の遺残物である管に分泌液が貯留したものである。
2.囊胞がクルミから小児頭大となって腟壁から膨隆することがある。
3.腟の腹側粘膜下にみられる。
4.交尾の障害となる場合がある。
5.外科的切開は感染を起こすため禁忌である。

問72 牛の子宮粘液症に関する記述として適切なのはどれか。答え→2
a 黄体遺残を継発することがある。
b 子宮壁は肥厚する。
c 大腸菌の感染が主な原因である。
d 子宮内腔のエコー検査では高エコー性の領域が描出される。
e 治癒しても再発することが多い。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e

問73 牛の囊腫様黄体に関する記述として正しいのはどれか。答え→3
1.大型の卵胞が排卵せずに黄体化したものである。
2.プロジェステロン分泌能はない。
3.直腸検査において囊腫卵胞と類似した所見を呈することがある。
4.黄体遺残に移行するものが多い。
5.黄体内の内容液を吸引すると黄体は退行する。

問74 牛の正常分娩および難産に関する記述として正しいのはどれか。答え→5
a 正常頭位では、陰門外に出た胎子の肢端の蹄底は上向きである。
b 胎子の推退には、可能な限り産科挺等の器具を用いる。
c 胎子の失位を整復する際は、まず胎子を骨盤腔内に引き寄せて整復する。
d 母牛の努責が強い場合、尾椎硬膜外麻酔が効果的である。
e 母牛を横臥させる場合は右側を下にすると胎子を牽引摘出しやすい。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e


どうでした?難しいですねぇ。問71の腟囊腫(腟囊胞)なんてほとんど遭遇しないし、国家試験に出すような問題なのかなぁ…。

ところで、尿細管形成不全症はクローディン16欠損症の事なんですね。症状の一つである過長蹄との関係が分からずに調べても、理由は書かれていません。何かしら理由があるんだろうなぁ。

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