6/9 産業動物獣医師のための論文の探し方


職場の同僚のために「乳房炎に関する論文の探し方」についての書類を作りました。せっかくなので公開します。


【日本語の論文を探す】
1. J-STAGEにアクセスして検索する。https://www.jstage.jst.go.jp/
J-STAGEは、日本国内の科学技術情報関係の電子ジャーナル発行を支援するシステムです。このシステムを利用することで、日本獣医師会雑誌、産業動物臨床医学雑誌、日本畜産学会報等の産業動物に関する信頼性の高い文献を横断的に検索することができます。
例)「牛、乳房炎」→1404件(2016/6/9現在)

2. CiNii Articlesにアクセスし検索する。http://ci.nii.ac.jp/
CiNii(NII学術情報ナビゲータ[サイニィ])は、論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報で検索できるデータベース・サービスです。このシステムを利用することで、大きな学会の学会誌だけでなく、会報や商業誌の論文も検索することができます。
例)「牛、乳房炎」→751件(2016/6/9現在)

3. Google Scholarにアクセスし検索する。https://scholar.google.co.jp/
Google社が提供する学術論文に特化した検索サービスです。このシステムを利用することで、Web上に存在する論文をGoogle検索することができます。掘り出し物の論文が見つかることも多いですが、発行元は自身で調べる必要があります。
例)「牛、乳房炎」→約 17,600件、「cattle, mastitis」→約 85,600 件(2016/6/9現在)

【英語の論文を探す】
1. PubMedにアクセスし検索する。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed
PubMed とは、NLM(米国国立医学図書館:National Library of Medicine)内の、NCBI(国立生物科学情報センター:National Center for Biotechnology Information)が作成しているデータベースです。データベース統合検索システムEntrez(NCBI 作成)の一部として提供されており、世界の主要医学系雑誌等に掲載された文献を検索することができます。ただし、英語で検索する必要があります。検索にはいくつかのコツがありますので以下を参考にしてください。
例)「cattle, mastitis」→7978件(2016/6/9現在)

1.1. 知りたい単語をWebLSDで英訳する。http://lsd-project.jp/
WebLSDはライフサイエンスに特化したオンライン辞書サービスです。英和・和英の対訳を調べるだけでなく、単語の発音や用法・用例、さらには前後関係が統計的に理解できる共起表現など、他の電子辞書にはない特徴的なサービスを行っています。乳房炎はmastitisです。

1.2. PubMedで知りたい単語をMesh検索する。https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjmyP7G25XNAhUENqYKHcGrDLUQFggbMAA&url=http%3A%2F%2Flibserve.nms.ac.jp%2Fmanual5%2Fpubmed%2Fpubmedmanual5.pdf&usg=AFQjCNFzYVunHOWiRuh5oSTaux_10Tqtrw&sig2=n9clYkDjrTcyeZVolIJAYg&bvm=bv.123664746,d.dGY
PubMedでは、MeSH(メッシュ:Medical Subjest Headingsの略 医学用語の見出し)用語を各論文に付与しています。MeSHとは、MEDLINEデータベースのシソーラスで、さまざまな医学用語をできるだけ統一して使えるようにまとめられた用語集です。MeSHを利用して検索すれば、より的確な検索が可能です。東京大学医学図書館が作成した図を交えたマニュアルがあるのでぜひ見て、実践してください。
例)「”Mastitis, Bovine”[Mesh]」→6654件(2016/6/9現在)

【論文を手に入れる】
1. 論文を所蔵する図書館を訪問する。

全国の大学図書館等が所蔵する図書・雑誌をCiNii Books等で確認の後、事前に連絡をしてから訪問をします。http://ci.nii.ac.jp/books/

2. 文献複写業者に依頼する。
現在、文献複写を代行する多数の業者が存在します。主なものを以下に示します。
2.1. NDL-OPAC(国立国会図書館)https://ndlopac.ndl.go.jp/
2.2. IMICOrder(国際医学情報センター) https://order.imic.or.jp/
2.3. ドキュメントデリバリーサービス(サンメディア)http://www.sunmedia.co.jp/modules/dds1/index.php
2.4. JDreamⅢ(ジー・サーチ)http://jdream3.com/

3. 電子ジャーナルを論文単位で購入する。
インターネット上の個々のサイトで論文単位の購入が可能なものがあります。以下に具体例を挙げます。
3.1. 外国雑誌
3.1.1. HighWire “Pay-for -access site” (Stanford University) http://highwire.stanford.edu/lists/ppvsp.dtl
3.1.2. ScienceDirect (Elsevier社) http://www.sciencedirect.com/
3.2. 和雑誌
3.2.1. CiNii Articles(国立情報学研究所)「Pay Per Viewでのご利用」https://support.nii.ac.jp/ja/cia/service_outline_ppv

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「6/9 産業動物獣医師のための論文の探し方」への5件のフィードバック

  1. キャー!だいもで先生、ありがとうございます!!
    保存、活用いたします!!!

  2. 大変参考になります。ありがとうございます。

    違う話題で質問よろしいでしょうか?
    去年の11月の関節洗浄の件でお聞きしたいのですが。
    今日、足根関節の関節洗浄を行ったのですが、洗浄を複数回行うか悩んでいます。
    この症例はどうだったでしょうか。
    よろしくお願いします。

    1. >ankoさん
      例のごとく返信が遅くなりました。

      関節洗浄は私たちは3例ほどしか経験していませんが、どれも生理食塩水1Lで洗浄を行い、日にちを跨いでの複数回の洗浄は行いませんでした。内2例は洗浄後は良化する様子が顕著に見られたため、抗生物質のみで数日間対処して治癒しました。もう1例は関節周囲炎も著しく残念ながら廃用になりました。

      今手元に文献はありませんが、僕が参考にした家畜診療誌の文献では2回洗浄していた症例があり、その点も考察されていたように記憶しています。

  3. ありがとうございます。
    再洗浄を行ってみましたが、やはり最初に混濁した関節液がまだけっこう出てきます。
    1週間前に行った最初の洗浄では急激な改善がみられたのですがその後また悪くなるという感じです。
    もう少し頑張ってみます。

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