2023/1/19 子牛の関節周囲炎の治療について


かれこれ昨年の秋の話、和牛子牛の関節周囲炎を治療し、一回の処置で治癒しました。聞かれることも多いので、参考までに写真を掲載しておきます。


生後3週間ほどの和牛子牛の関節が腫れているから治療してほしいという稟告。触診してみると左前肢手根関節の関節周囲炎で、膿瘍を形成しているようであった。

診断と治療を兼ねて、留置針を設置。白色の膿が確認できたので、生理食塩水の注入を繰り返し、回収液が透明になるまで洗浄を行った。

最後はできる限り吸引し、患部を圧迫包帯して経過観察。

翌週に包帯を除去すると、綺麗に治癒していた。


もちろん、この症例は膿瘍を切開しても治っていたでしょう。傷が残らないことと、治癒までの時間短縮が今回の治療法の良いところで、好んでやっています。

2023/1/18 2022年の採卵とその結果


2023年に突入しました。独立後の激動の一年で、HPの更新も滞ってしまいました。気楽な投稿を徐々に復活させていこうと思う今日この頃です。


昨年は自分の病院だけで採卵を開始しました。採卵時はお手伝いさんに来てもらっています。採卵回数はまだ少ないものの、結果は上々です。

11月は11胚が採取でき、全てがAランクでした。

12月も8胚が採取でき、5胚がAランクでした。この5胚は新鮮胚で移植し、全て妊娠しました。

また、これまでに採卵して凍結した胚についても妊娠が確認されています。


採卵プログラムは牛にも酪農家の負担も少ない、省力化プログラムを採用しています。注射はわずか3回の実施で済み、結果も比較的良好なので好評です!

2022/11/7 当院のDX推進への取り組み


DXは、デジタルトランスフォーメーション(DigitalTransformation)の略です。当院は以下のようにDX推進へ取り組みます。

  1. 経営の方向性及びデジタル技術等の活用の方向性
    経済産業省は2018年12月発表に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」を出しました。その中で、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社 会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。 つまり、DXとはデータとデジタル技術によって商品やビジネス、業務、企業文化等の変革を成し遂げるものであり、その目的は競争力の維持・獲得・強化を果たすことにあります。当院はこのことを強く認識し、DXを活用した動物病院運営を目指します。
  2. 経営及びデジタル技術等の活用の具体的な方策(戦略)
    畜産や獣医療の世界でもデジタルを活用した様々なデバイスや医療機器が次々と開発されています。当院の治療でもそれらを積極的に導入すると共に、デジタルを活用した生産獣医療サービスの開発および提供を目指します。
  3. 戦略を効果的に進めるための体制の提示
    当院ではデジタル技術を活用した生産獣医療を推進していくための体制を整えます。そのために、院長である石山大自らがCIO(最高情報責任者)およびDX推進者を務めます。

2022/10/16 雄ヤギのフェロモンと生殖ホルモンの関係


先日、ヤギの去勢を依頼された。育つにつれて攻撃性が増し、さらに雄ヤギの臭いが強くなってきたのが理由だ。この雄ヤギの臭いの中に、雌ヤギに作用するフェロモンが含まれていることをご存知だろうか?今日はそのフェロモンから生殖ホルモンの分泌に関する話を簡単に書こうと思う。


僕が獣医学科の学生だった頃、教科書には「脳内の視床下部にあるGnRHニューロンが最上位に位置し、パルス状に分泌されたGnRHがその下流にある下垂体に作用し、下垂体からLHやFSHがパルス状に分泌される。そのLHやFSHが性線に作用し、エストロゲンやテストステロン分泌を調整する。」と説明されていた。これが生殖ホルモン分泌の視床下部ー下垂体ー性線軸と言われるものだ。当時は、視床下部にあるGnRHニューロンが生殖ホルモン分泌を左右する親分と考えられていた。

しかし、研究の進展に伴い、生殖ホルモン分泌を左右する大親分の存在することが明らかになってきている。大親分の学術的な正体が「KNDyニューロン」だ。生理活性物質であるキスペプチンの頭文字であるK、ニューロキニンBのN、ダイノルフィンAのDyを同一の神経が有していることからKNDy(キャンディ)ニューロンと呼ばれている。そして、このKNDyニューロンの拍動的活性化こそがGnRHニューロンが分泌するGnRHのパルス状分泌の正体であることが明らかにされている。

KNDyニューロンの拍動的活性化の判断は他の様々な神経の投射によって制御されている。ヤギにおいては、雄の臭いに含まれるフォロモンもKNDyニューロンの拍動的活性化を決定づける一つだ。フェロモンとは「同種の他個体が受容したときに特定の行動や生理的変化を誘起する分泌物質」で、嗅覚系を介した同種間のコミュニケーションに重要な役割を果たしている。雄ヤギの臭いに含まれる4-ethyloctanalは雌ヤギの鋤鼻という器官で受容される。さらに鋤鼻神経を介してKNDyニューロンの拍動的活性化に関与することが明らかになっている。季節性繁殖動物であるヤギやヒツジにおいて,非繁殖期の雌の群れに雄を導入すると排卵や発情が誘起される「雄効果」という現象が古くから知られていた。この雄効果の正体が4-ethyloctanalというフェロモンだったのだ。

このKNDyニューロンの拍動的活性化は哺乳類に共通で、人や牛にももちろん存在する。KNDyニューロンの拍動的活性化については現在も盛んに研究されており、関与する要因や制御機構が次々と発見されている。そして、泌乳刺激、高ストレス状態、低栄養なども神経回路を通じてKNDyニューロンの拍動的活性化を制御していることが分かりつつある。

牛の栄養の不均衡、蹄病の痛み(高ストレス)が繁殖成績の悪化と深く結びついているのは当然の理なのだ。牛群の栄養状態の定期的なモニタリングと蹄病跛行の抑制には積極的に取り組みましょう!当院では牛群の栄養状態の管理サービスも積極的に行なっていますので、お気軽にお問い合わせください。


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2022/10/15 乳牛の人工授精 (AI)と胚移植(ET)の腟内での動画を公開しました。


乳牛の人工授精 (AI)と胚移植(ET)の腟内での動画を久しぶりに編集・公開しました。公開後、即、YouTubeから年齢制限がかけられました。引き続き発情発見のトレーニングとしてご活用ください。

メインPCをMacに変更したので、iMovieでの初編集になります。ナレーションもつけてみました。