12/9 蹄病三連星


久しぶりに蹄病三頭連続で診た。そしてどれも違う病態であった。

1頭目、治療前。

1頭目、削蹄後。趾皮膚炎からの病変が蹄底まで波及していた。内蹄にブロックをして終了。

2頭目、治療前。

2頭目、治療後。白帯病であった。患部から膿が噴出した。

3頭目、治療前。

3頭目、治療後。趾間が裂開し、趾間皮膚炎となっていた。

2021/12/3 2回目の関節切開術も治癒した話


F1子牛における開放性の感染性関節炎に対して関節切開術を行い、結果的に治癒した。ぜひ参考にしていただき、恐れずに手術をチャレンジしていただきたい。


左前肢の手根関節が腫脹し、すでに膿汁を漏出していた。傷口から指を挿入すると、関節に達していた。この時点で、即関節切開術を選択した。


大学の先生方からの助言から、患部への縦切開を選択。水道水を延々と流しながら手術を行った。


明らかな異常部位をメスや鋏で切除していくが、今回もだんだんと正常と異常の境が分からなくなってきた。とにかく、全ての組織をできる限り切除した。関節腔内も切開し、屈曲させて内部を徹底的に洗浄した。奥の方にフィブリン塊等が析出しており、鉗子を使いながら完全に除去した。


関節腔は縫合できるものは無いため、そのままにして皮膚のみを縫合した。欠損した皮膚の部位を広く切りすぎたため、縦切開でも一部皮膚が寄らず、そのままキャストで固定した。7日間抗生物質を継続しつつ、このまま約10日様子を見た。


キャストを除去すると、上下の縫合は融合していたが、皮膚が寄らなかった部位は肉芽が形成されていた。抜歯して、肉芽の部分は洗浄し、キトサン製剤を塗布し、再度キャスト固定した。さらに約10日様子を見ることにした。


キャストを除去すると、肉芽はさらに盛り上がり不潔な感じは全くない。負重も全く問題ないため、患部を洗浄し、キトサン製剤を塗布し、綿花包帯のみを行った。さらに約10日様子を見ることにした。


包帯を除去すると、皮膚の再形成がさらに進んでいた。負重も問題ないため、このまま様子を見ることにした。患部を屈曲させると、可動域は狭く折り曲げることはできないが、治癒したと言って良いレベルであろう。


この関節切開術は、関節固定術と共に外科の教科書に載ってはいるが、日本での症例報告は少なかった。大学の先生が推していたのでやってみているが、これで2戦2勝。こんなにひどい関節炎が治るなんて、ビックリ仰天。今年一番の驚き技術であった。ただ、印象としては、関節切開術というよりは関節内クリーニングという感じ。

2021/7/21 子牛の感染性関節炎に行った関節切開術


今年の関東しゃくなげ会の講演で、鳥取大学の先生が「牛の感染性関節炎には関節切開術!」と推していたので、早速やってみました。


子牛の右前肢は関節炎のため負重できなくなっていた。すでに手根関節は開口し、膿を排出。穴は骨に達していた。開口部より関節洗浄を行ったが、状態の変化はなかった。


関節切開術を実施した。手根関節を横に切開し、不正な組織をむしり取るように徹底的に除去した。関節腔も開放状態となった。皮下組織は縫えなくなったので、皮膚だけ縫合し、ドレーンを設置した。プラスチック包帯で上下の関節を固定した(0日目)。

ドレーンは2日で詰まってしまい、除去した。キャスティングテープを11日目で除去すると、患部は癒合しつつあった。再度キャスティングテープで上下の関節を固定した。

手術後22日目にプラスチック包帯を再び除去すると、患部の癒合はさらに進んでいた。伸縮性包帯のみで創面を保護した。

手術後27日目には創面は癒合し、傷も目立たなくなってきた。しっかりと負重し、起伏に問題はないので治療を終えた。手根関節も軽度に曲げることができた。


今までなら、開放性の感染性関節炎は関節洗浄を行っても奏功しないので、予後不良だと思っていた。関節切開術は目からうろこの治療法だと思った。

2021/10/2追記

1. 当初、プラスチック包帯と書いてありましたがキャスティングテープの誤記ですので訂正しました。

2. この子牛は無事に市場で売れました。平均価格よりは約10万円低い価格でした。