もうご存知の方も多いかとは思いますが、NOSAI千葉を退職しました。この職場では、酪農、診療から採卵まで様々な事を学んできました。
さて、退職後にどうするかについてですが、牛の繁殖に特化した動物病院を開業しました。生産獣医療も提供したいという願いを込めて、石山生産獣医科という屋号を付けました。さらに、東京大学の研究員も兼任し、引き続き臨床繁殖学の研究も続けます。
不安定な立場になりますので、ご支援いただけると嬉しいです。
もうご存知の方も多いかとは思いますが、NOSAI千葉を退職しました。この職場では、酪農、診療から採卵まで様々な事を学んできました。
さて、退職後にどうするかについてですが、牛の繁殖に特化した動物病院を開業しました。生産獣医療も提供したいという願いを込めて、石山生産獣医科という屋号を付けました。さらに、東京大学の研究員も兼任し、引き続き臨床繁殖学の研究も続けます。
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久しぶりに蹄病三頭連続で診た。そしてどれも違う病態であった。
F1子牛における開放性の感染性関節炎に対して関節切開術を行い、結果的に治癒した。ぜひ参考にしていただき、恐れずに手術をチャレンジしていただきたい。
左前肢の手根関節が腫脹し、すでに膿汁を漏出していた。傷口から指を挿入すると、関節に達していた。この時点で、即関節切開術を選択した。
大学の先生方からの助言から、患部への縦切開を選択。水道水を延々と流しながら手術を行った。
明らかな異常部位をメスや鋏で切除していくが、今回もだんだんと正常と異常の境が分からなくなってきた。とにかく、全ての組織をできる限り切除した。関節腔内も切開し、屈曲させて内部を徹底的に洗浄した。奥の方にフィブリン塊等が析出しており、鉗子を使いながら完全に除去した。
関節腔は縫合できるものは無いため、そのままにして皮膚のみを縫合した。欠損した皮膚の部位を広く切りすぎたため、縦切開でも一部皮膚が寄らず、そのままキャストで固定した。7日間抗生物質を継続しつつ、このまま約10日様子を見た。
キャストを除去すると、上下の縫合は融合していたが、皮膚が寄らなかった部位は肉芽が形成されていた。抜歯して、肉芽の部分は洗浄し、キトサン製剤を塗布し、再度キャスト固定した。さらに約10日様子を見ることにした。
キャストを除去すると、肉芽はさらに盛り上がり不潔な感じは全くない。負重も全く問題ないため、患部を洗浄し、キトサン製剤を塗布し、綿花包帯のみを行った。さらに約10日様子を見ることにした。
包帯を除去すると、皮膚の再形成がさらに進んでいた。負重も問題ないため、このまま様子を見ることにした。患部を屈曲させると、可動域は狭く折り曲げることはできないが、治癒したと言って良いレベルであろう。
この関節切開術は、関節固定術と共に外科の教科書に載ってはいるが、日本での症例報告は少なかった。大学の先生が推していたのでやってみているが、これで2戦2勝。こんなにひどい関節炎が治るなんて、ビックリ仰天。今年一番の驚き技術であった。ただ、印象としては、関節切開術というよりは関節内クリーニングという感じ。
生まれたばかりのホルスタイン種の子牛の下顎が短いと相談があった。見てみると見事な口蓋裂であった。
人では手術が行われるが、牛では稀である。本症例も、縫合するには左右の解離が著しすぎるようだ。
臨床獣医10月号のVet’s Fileに寄稿した記事が掲載されました。ざっくばらんに普段のことを書いています。お手元にある方はぜひお読みください。