2020/5/20 COVID-19と家畜の論文を読んでみた15


2020年5月にJournal of Virologyへ受理された、SARS-CoV-2に感染する可能性のある動物を受容体との接合度の観点から調べた論文”Comparison of SARS-CoV-2 spike protein binding to ACE2 receptors from human, pets, farm animals, and putative intermediate hosts”(10.1128/JVI.00831-20)を読んでみた。要点は以下の通り。


・SARS-CoV-2のSタンパクが宿主の酵素により分解してRBDという部位を有するS1サブユニットとなる。人の細胞に発現するACE2とRBDが接合することで、細胞内への侵入が開始する。
・豚のACE2は、RBDが接合する人のACE2のアミノ酸20個中5つが異なるものの、SARS-CoV-2が接合する(表1、図2)。ただし、豚のACE2は腎臓で高度に発現しているものの、肺ではほとんど発現していない(図4)。
・牛と羊のACE2を構成するアミノ酸配列はほぼ同一。牛と羊のACE2は、RBDが接合する人のACE2のアミノ酸20個中わずか3個しかアミノ酸が異なっていない(表1)。牛と羊のACE2がSARS-CoV-2の受容体として働く可能性は極めて高いので、感染実験が必要。


つまるところ、牛や羊は猫同様にSARS-CoV-2へ感染する可能性が高そうだってことだ。もちろん、まだ感染例の報告はないので、牛での症状や人への感染のリスクなどは不明だ。

COVID-19に罹患している人は、動物との接触はぜひ控えてほしい。万が一、酪農家や肥育農家に感染者の人がいたら、牛の感染を検査した方が良いかもしれない。

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